Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

おそらくその戸棚の中には私の少年時代の思い出が、いっぱい詰め込まれてあるに違いないのだから。私は戸棚の中に首を突き込んで、探しものをしている真似をしていたが、べつに目当があるわけではなかった。縁側の話声に気をとられていた。

「おかみさん、花立が一つ見えませんが。」

「そうかい。どうしたんだろうね。いやだよ、なかやの膝の下にあるじゃないか。」

「おやまあ、ほんとに。」

その人の声もまじって笑うのが聞えて、しばらくして母の声が、

「ええ。おかげさまで学校の出来は悪くないんですが、お祖父さんが甘やかすものですから、腕白でこまります。」

「いいえ、いいお子さんですわ。」

私は箱根みやげの寄木細工の玩具をもてあそんでいたが、ひとりでに顔が赤くなった。

お糸さんは麻布の狸穴から俥に乗って私の家に来た。お糸さんがどうして私の家に一時身を寄せるようになったのか、私には知れていない。私は子供の気持でなんとなくお糸さんのことを遠い縁つづきの人のように思っていた。祖父は「お糸、お糸。」と呼び捨てにしていた。お糸さんはまた祖父のことを、親しみの籠った口調で「おじさん。」と呼んでいたが、恐い人である祖父がそう呼ばれるのが、はたの者の耳にはめずらしく聞えた。