Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

歩いているうちに私は駒下駄の鼻緒を切った。のぶちゃんは袂の中を探したが、鼻緒の代りになるものはなにも見つからなかった。すると、その道のほとりに煙草や荒物を商っている家があったが、店先に坐っていたお婆さんが私たちに呼びかけて、これでおすげなさいと云ってお手製の前つぼを呉れ、また火箸を貸してくれた。私はただ黙ってのぶちゃんがすげてくれるのを見ていた。私は内弁慶で外ではから意気地がない。知らない人とは口がきけなかった。私はのぶちゃんが私の代りに、はきはきと礼をいい、また器用に鼻緒をすげてくれるのに驚いた。

その家の傍には釣瓶井戸があったので、のどが渇いていた私たちは水を無心した。

「おばさん。水を飲まして下さいね。」とのぶちゃんが云ったら、お婆さんは、

「さあさあ、たんとおあがんなさい。」と云った。切髪のどことなく小意気なお婆さんであった。根からの近在者には見えなかった。

日が蔭ってきたので私たちはあわてて帰途についた。墨田堤を水神の森の方へ下りる坂みちのある処へきたときに、その坂を角隠をつけた花嫁の連れが四、五人提灯をさげて登ってくるのに行き逢った。花嫁は母親らしい人に附添われて目を伏せていた。