Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
」
おきぬは、おかみさんが日頃嘉吉のことをどう思っているかは、よく知っていた。けれども、どちらかと云えば、彼女は嘉吉に好意を寄せていた。このアパートの居住者の中で、その職業の性質からも、またその人柄からも、彼女には嘉吉がいちばん身近に感じられた。嘉吉が貧しいということも、親しみを増す種であった。学生や勤め人の中には、嘉吉などよりははるかに気さくな連中がいて、おきぬも親しく冗談口をきいたりしたが、彼女は学生達を自分と同じ仲間のようには思うことは出来なかった。どんなに親しく振舞っているようなときでも、皆んないつも、彼女を不器量な女中としか見ていなかったから。嘉吉はどちらかと云えば無愛想な男であるが、彼の視線や話し振りに、おきぬはいちどもこだわりを感じたことはなかった。
「おきぬさん。明日は雨だね。またさぼれるな。」
嘉吉のそんななにげない言葉のはしからも、ほかの人達の場合には感ずることの出来ない親しみが、おきぬの心に伝わってきた。
おきぬにはまた嘉吉が、見かけ通り大人しい性質の男に思われた。嘉吉がおかみさんに向って脅迫がましい口をきいたときにも、おきぬはそばにいたが、彼を疎ましく思う気持にはならなかった。