Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
けれどもおかみさんには嘉吉が生まじめな性質から自分に相談をかけていることがよくわかった。このことは少なからず嘉吉に対するおかみさんの心証をよくした。
早春の夜であった。夕飯を食べてから、おかみさんとおきぬは町の映画館へ行った。
……画面には、高峰秀子扮するところのアプレ娘が、友達の生んだ私生児をおぶって、蝙蝠傘をさして、川べりを歩いている場面が映っていた。
おきぬはふと、嘉吉がいるのに気がついた。嘉吉は通路に立って、背を羽目板にもたせて、一心に画面に見入っていた。おきぬが腰かけている場所から、斜向うに見えた。おかみさんは気がつかないようだった。おきぬはその嘉吉の横顔に惹かれた。誰にも見られていないという安心感が、彼にそんな柔らいだ表情をさせているのだろうか。嘉吉の裸の心が、そこに見えるように思われた。嘉吉は涙ぐんでいるようでもあった。おかみさんに、嘉吉のいることを告げるのは、なんとなく憚かられた。おきぬもまた画面に見入った。しばらくしてその方を見ると、嘉吉の姿は見えなかった。まもなく映画が終わって、おかみさんとおきぬもほかの人達と一緒に席を立って外に出た。