Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

「予防注射などをしても、大丈夫でしょうか。」

と私は訊いた。獣医はわからぬような表情をした。

「おなかの仔どもにさしつかえはないでしょうか。」

獣医はいい眼つきで私を眺め、破顔一笑した。

「心配はありません。」

獣医はまた助手に手伝わせて、メリーの頸に注射をした。メリーは注射針を刺された瞬間、「キャン。」と一声悲鳴をあげたが、あとは薬液を注入しおわるまでじっとしていた。獣医は注射をした跡をアルコールをしめした綿でかるく摩擦した。メリーもようやく自分が解放されたことを感じたらしく、私の顔を見上げて尾をはげしく振った。私は可憐な気がして、メリーの頸を抱きその額をなでた。人前ではあったが、私はそうせずにはいられなかった。

証明書を書くだんになって、獣医は私をかえりみて、

「名前は?」

「メリー。」

私の頬には血がのぼり、私は自分の声音にメリーに対する自分の気持を確かめるような思いをさえ味わった。

帰りぎわに、私は壁のうえの「幸福なる四部合奏」の絵の中にいる犬を指さし、獣医に訊いてみた。

「この犬は何種でしょうか。」

獣医は他意のない微笑を見せた。

「さあ。テリアの一種でしょう。