Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
遁走
私は中学校の三年生のとき、家出をしたことがある。原因はいまだから話すが、幾何の宿題をなまけて、先生から叱られるのが恐かったからである。
私の学校の幾何を担任していた先生は、とても恐かった。まだ若い人だったが。独身だったか、妻帯していたか、そんなことはわからない。いま想像してみても、どちらとも見当はつかない。独身であったかも知れないし、あるいは妻帯していたかも知れない。色黒で、痩せていて、目が光っていた。神経質の方だろうな。そう、一寸フィリッピン人のような感じがした。
私はいまでも、あの先生がどうしてあんなに怒ったのか、わからない。察しがつかない。問題を当てられても解けず、黒板の前で立往生をしていると、また宿題をやって来なかったのがばれたりすると、先生は怒った。その怒り方は実に恐かった。怒るばかりでなく、生徒の頭をこづいたような気もする。なにしろ恐かった。なにもあんなにまで怒らなくとも、いいのではなかろうか。ともかく、生徒に対してあんな風に怒り、そして叱った先生の心理は、私にはどうにも見当がつかない。あれは少し異常ではなかろうか。それとも、そんなにまで先生を恐怖した私の方が異常だったのだろうか。