Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
メリーの顔と姿態はもはや私の心にしみついてしまっていた。人の子の親にとって、わが子の顔が絶対なものであることを、私はメリーをとおして学ぶことが出来た。
そのことを私がお婆さんに告げると、お婆さんは云った。
「それは、あんた、情がうつるというものですよ。」
私は夜外出するとき、離れの明りを、小さな電球にとりかえて、わざと消さずにおく。メリーはもはや自分の塒にいるが、そこから離れの明りが見える方が、メリーのためにも私のためにもいいような気が私にはするのである。私にとっても真暗にして留守にしてしまうよりは、その方がなんだか安心なのである。
私の外出は割引から映画を見るか、呑み屋に寄るか、どちらかである。映画館のくらやみは、私にとっては居心地のいい場所の一つである。人込みの中に紛れ込んで、お互いに邪魔にもならず邪魔にもされずに、共にある一定の時間を過ごすことは、人間という群棲動物にとっては、やはり心やりの一つなのであろう。映画館に入るのは、映画を見るのが目当ではあるが、けれどもこれが自分ひとりで見ているのだとしたら、すこしも楽しくないであろう。私は画面を見ながら、夢み心地になったり、涙をながしたりするが、ひとから泣顔を見られる心配がないのがいい。