Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
僕の父は滅法善い人です。やさしい、善い心の人なのです。人に立ち交ったこともなく、世間というものを知りません。父が浄瑠璃などを習うようになったのは、盲目になったためからでしょうが、生れつき父の躯には好きなものへの血が流れていたのだと僕には思えます。父の周囲、僕の一家もまた芝居、音曲などの好きな連中の集りですが、父を除いては誰も粗い気質の人達ばかりです。一家のこの方の趣味にしてからが、もっと人柄に浸み込んだものであったなら、僕の家庭の空気にも、もっと柔かな、砕けたものが流れ込んでいたことでしょう。そういうものを持っているのは、陰気な黙りがちな父だけなのです。家にはいま六つになる妹がいますが、父は時にそんな幼いものを相手に、玩具の三味線などを手にして、おどけて見せることがあります。そんな時の父には、巧まない、瓢逸なところが見られます。僕はまだ子供の時分、夜の明け方ごろになると、隣りの父の寝床に這い込んでいっては、よく父に「お話して、お話して。」とねだったものでした。すると父は、いつでも「うん。よし、よし。」と云って、寄席できいてきた、落語や講談の話をしてきかせてくれました。