Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
手応え充分であった。私は赤犬の横腹をいやというほど擲りつけたらしかった。案ずるほどのこともなかった。赤犬は「キャン。」と一声悲鳴をあげると、後をも見ずに逃げ去った。私はほっとした。やれやれ。見るとメリーは気づかわしそうに私を見守っている。いい塩梅にメリーは恙なかった。気がついてみると、私は負傷をしていた。右掌の小指の下のところにうすく歯型がついて紫色になっていた。赤犬は狂犬ではないだろうか。そうだとすると、ことだと思った。それと同時にメリーの躯のことが気になった。いまのショックはメリーのおなかの中の仔どもに悪い影響を及ぼしはしないだろうか。若しかしたら、流産しはしないだろうか。黒雲がもくもくと立ちこめ、前途が真暗になったような気がした。私はその足で獣医のもとに行った。
獣医は私の話をきき、一応メリーの躯を診察したが、異状はないと云った。私の負傷の方はてんで問題にもしなかった。それはかすり傷にはちがいなかった。それでも獣医は私の気を休めるように、傷に薬をつけ繃帯をまいてくれた。赤犬は狂犬ではないだろうと獣医は云った。
「狂犬でなくとも、ひとを噛むものでしょうか。