Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
順吉がそばを通ると「ご苦労さま。」と声をかけたり、ときには「順さんはいま一番方ですか。」などと云ったりする。人柄というものはおかしなものでこんななんでもない挨拶が、云う人によってはひどく親身に聞かれるものである。おすぎにはそんなところがあった、仕事をしながらよく流行歌をうたっているが、こんなのは働きものによく見かけることである。炊事の娘たちの間でも、おすぎはいいおばさんであった。
「順さんはいい身分だね。」
見舞いにきてくれた寮生や現場の同僚たちが、順吉とおすぎをかえりみて口々に云う。ただ恢復を待つばかりの病人ははた目には気楽そうに見えるのであろう。渡る世間に鬼はいないと云うが、順吉はいま自分がひどく果報者のような気がしている。人の住んでいるところには人と一緒に親切も住んでいる。そういう思いが順吉の心の中に一つの言葉になって浮かんできた。
「おすぎさんはいいなあ。」
順吉はおすぎと話しながら、ときどきおすぎの顔を見つめている自分に気づくようになっていた。
順吉の隣りの寝台にいる親爺さんは長屋の人ではなくて、やはりほかの寮にいる人であった。息子かと思われた若者も同じ寮生で、手が足りないため附添いを頼まれたものらしかった。