Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

「おこうや」の先生というのを覚えている。その先生のたしか左の上顎の辺に、小さな膏薬を貼ったほどの痣があった。私は痣というものを知らず、先生が膏薬を貼っているのだとばかり思い、「おこうや」の先生と呼んだ。先生の痣は、その頃生薬屋で売っていた万金膏という膏薬を貼ったように見えたのである。私の記憶ちがいでなければ、角町の稲本楼の帳場でもこの膏薬を売っていて、私はいちど買いにやらされた覚えがある。「おこうや」という云い廻しには大阪訛が雑っているかも知れない。私は大阪から帰った当座、しばらくはその訛がとれず、兄からよく笑われたそうである。父や母はずっと後になっても、時々会話に大阪弁をまぜていた。私は「おこうや」の先生に抱かれて、その痣をふしぎそうに指でなでたことを覚えている。まだ年若な色の白い人であったような気がしている。幼稚園へ行く途中にあった子供相手の文房具屋で、かねて欲しいと思っていた蝋しんこというものを買ってもらい、自分の指の力ではそれを柔くすることが出来ないので、幼稚園での休憩時間に運動場の隅のベンチで附添同士話しているしづやのもとへかけつけて、柔くしてもらったことなどを覚えている。