Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

弟の人は彫金をやっていたが、母の口振りによると、腕の確なわりには不遇であったようである。一家は貸座敷の新造をしていたおかみさんと浪江と云う年頃の娘との三人暮しで、ほかにどこやらに奉公していた太郎と云う少し人並でない長男があった。私にはおかみさんのかおかたちがいちばんはっきり思い出される。貸座敷の新造によく見かけるタイプの人であった。弟の人は痩形の色の黒い、どことなく沈鬱な感じの人であった。若しもこの人の顔が明るい感じのものであったなら、その男ぶりももっと引立って見えたに違いない。毎日父のもとに義太夫をやりにきていた。浪ちゃんは顔は母親似で、おとなしい内気な感じの娘であった。浪江だなんてまるで小説にでも出てくる人の名のようだと母が幾分冷笑ぎみに云ったのを覚えている。私は裏手の縁側の方から、浪ちゃんが針仕事などをしているところへよく遊びに行ったものである。ある日置き忘れてきた絵本を取りに行ったら、めずらしく太郎さんがきていて絵本を手にして見ていた。浪ちゃんは太郎さんのことを私の手前恥るけしきで、私の気を兼ねるように「貸してあげて下さいね。」と云った。