Japanische Klassiker mit Furigana
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らくらいのあと
落雷のあと
豊島 与志雄
Lesen Sie 落雷のあと (らくらいのあと) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.072 Zeichen · 14 Bildschirme
」
「精力的な沈潜した悲哀……僕には分らんね。」
でも久保は、また口を噤んで、立川を眺めながら、考えこみました。立川は涙ぐみそうな気持ちで、頬の肉の震えを自ら感じました。
久保は気を変えるように、立川の辞職と就職との二つの祝いに一杯飲もうと言い出しました。そしてあれこれと物色した上で、立川の望みに任せた内密な店へ出かけました。
久保はよく飲み、よく食い、よく饒舌りました。印刷技術について、いつのまにか深い研究を重ねてると見えて、その方面のことをいろいろ説明してきかせました。立川にはさっぱり理解が出来ませんでした。ただ、写真と印刷とが同一の技術面で合致すべきだという久保の説を、ちょっと面白く思っただけでした。それに、彼は酒に弱く、早く酔ってしまいました。出された鮨には手をつけず、それをすっかりみやげに持ってゆくと主張しました。みやげがいるなら別に作らせると久保が言っても、彼はやはり主張をまげず、早く帰りたがりました。
大きな鮨包みを大事そうにかかえて、立川は帰ってゆきました。久保は一人で残って飲み続けました。
電車から降り、焼け跡をぬけ、以前はバスが通っていた大通りから、彼方に、矢野さんの家の欅の大木を見ると、立川はそこに立ち止って、帽子を地面に叩きつけました。