Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かつしかすなご

葛飾砂子

泉 鏡花

Lesen Sie 葛飾砂子 (かつしかすなご) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.677 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

されば今宵も例に依って、船の舳を乗返した。

腰を捻って、艪柄を取って、一ツおすと、岸を放れ、

「ああ、良い月だ、妙法蓮華経如来寿量品第十六自我得仏来、所経諸劫数、無量百千万億載阿僧祇、」と誦しはじめた。風も静に川波の声も聞えず、更け行くにつれて、三押に一度、七押に一度、ともすれば響く艪の音かな。

「常説法教化無数億衆生爾来無量劫。」

法の声は、蘆を渡り、柳に音ずれ、蟋蟀の鳴き細る人の枕に近づくのである。

本所ならば七不思議の一ツに数えよう、月夜の題目船、一人船頭。界隈の人々はそもいかんの感を起す。苫家、伏家に灯の影も漏れない夜はさこそ、朝々の煙も細くかの柳を手向けられた墓のごとき屋根の下には、子なき親、夫なき妻、乳のない嬰児、盲目の媼、継母、寄合身上で女ばかりで暮すなど、哀に果敢ない老若男女が、見る夢も覚めた思いも、大方この日が照る世の中のことではあるまい。

髯ある者、腕車を走らす者、外套を着たものなどを、同一世に住むとは思わず、同胞であることなどは忘れてしまって、憂きことを、憂しと識別することさえ出来ぬまで心身ともに疲れ果てたその家この家に、かくまでに尊い音楽はないのである。