Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
Lesen Sie 葦は見ていた (あしはみていた) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.985 Zeichen · 36 Bildschirme
彼はまえにめぼしい物をすっかり売ったので、残ったのはたいてい恥ずかしいような品ばかりであった。しかしどんなに些少でも、それが銭になる物なら片端から売った。
――もう少しよ。もう少し。
女は苦悶の声をあげながら叫んだ。
――あたしもうすぐに出てゆくわ、だからもう少しのあいだ堪忍して。
だが、おひさは出てはゆかずに、自分が稼ぐと云いだした。いっしょに江戸へゆこう、江戸なら充分に稼げるし、あなたも肩身のせまいおもいをせずに暮すことができる。いっしょに江戸へゆきましょう、そう云ってくどきはじめた。
――さもなければ、あたしたち餓死をしてしまうわ。
――おまえは餓死がいやか。
――あなたを餓死させられると思って。
――ゆきたければおまえ一人でゆけ、おまえ江戸へ帰りたいんだろう。
――あなたには女の気持がわからないのね。
――一人でゆけ、おれはいやだ。
家の中はからになった。もう屑屋でもなければ買わないような物ばかりで、それを売るのもおひさの役になった。すると或る日、おひさが一面の古鏡を捜しだして来た。
――それは売れないんだ。
と計之介は云った。
――それは古くから藤吉に伝わっている家宝で、代々この家の主婦の持つものになっている、祖母から母へ、母から、……そうだ、それはおまえに渡されるものなんだ。