Japanische Klassiker mit Furigana
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あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
Lesen Sie 葦は見ていた (あしはみていた) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.985 Zeichen · 36 Bildschirme
城代家老を覘っているなどというそぶりは些かもみえない、それは誰の眼にもまさに保養している人の姿であった。
九月になったばかりの或る日、――
頼母は熊井川へ釣りにでかけた。そこはまえにもいちど来たことがある、観音寺の丘陵をまわった流れが右へ大きく曲って、かなり広い淀みをなしており、汀から川の中までびっしりと葦が茂っている。――頼母は萱笠をかぶり、腰には脇差だけ差して、袷の着ながしであった。堤からおりたところは、脆くなった堤の土が崩れるため、ひとところ高く、水の中へと突出ている。彼はそこを選んで釣竿の支度をした。
秋の朝のやや冷たい風が吹いていた。
頼母の釣りは魚を釣るのが目的ではない。安逸のふうを人に(もし見られたばあいには)示せばいいので、釣ることにはなんの興味もないのであった。釣糸を垂れた彼は、竿を足もとの土に突き立て、自分は堤の斜面へ腰をおろした。
風の渡るたびに、葦は片方へなびき、黄ばみはじめた葉と葉が、さわさわと乾いた音をたてた。
まもなく三寸ばかりの鮒が釣れ、続いて三尾かかった。そうして、また竿を土に突き立てようとしたとき、土の下でつかえる物があり、さらに強く突くと、なにか割れるような手答えがあった。