Japanische Klassiker mit Furigana
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ふとん
蒲団
田山 花袋
Lesen Sie 蒲団 (ふとん) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.870 Zeichen · 90 Bildschirme
やれ文章を直してくれの、弟子にしてくれのと一々取合ってはいられなかった。だからその女の手紙を受取っても、別に返事を出そうとまでその好奇心は募らなかった。けれど同じ人の熱心なる手紙を三通まで貰っては、さすがの時雄も注意をせずにはいられなかった。年は十九だそうだが、手紙の文句から推して、その表情の巧みなのは驚くべきほどで、いかなることがあっても先生の門下生になって、一生文学に従事したいとの切なる願望。文字は走り書のすらすらした字で、余程ハイカラの女らしい。返事を書いたのは、例の工場の二階の室で、その日は毎日の課業の地理を二枚書いて止して、長い数尺に余る手紙を芳子に送った。その手紙には女の身として文学に携わることの不心得、女は生理的に母たるの義務を尽さなければならぬ理由、処女にして文学者たるの危険などを縷々として説いて、幾らか罵倒的の文辞をも陳べて、これならもう愛想をつかして断念めて了うであろうと時雄は思って微笑した。そして本箱の中から岡山県の地図を捜して、阿哲郡新見町の所在を研究した。山陽線から高梁川の谷を遡って奥十数里、こんな山の中にもこんなハイカラの女があるかと思うと、それでも何となくなつかしく、時雄はその附近の地形やら山やら川やらを仔細に見た。