Japanische Klassiker mit Furigana
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はす
蓮
豊島 与志雄
Lesen Sie 蓮 (はす) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.969 Zeichen · 8 Bildschirme
植物の消化不良も、人間のそれと同じように、治療甚だ困難なものである。その上、自然の大地に於てならば、肥料はやがて地下深くへか四方へか、次第に放散してしまうであろうが、瀬戸の鉢の中に於ては、放散すべき場所がなくて、いつまでも其処に残っている。消化不良のいじけた小さな蓮では、それをなかなか吸収し了せるものではない。うっかりすれば、蓮の方が肥料の毒気に窒息させられるかも知れない。と云って、今更泥土を取換えるのは、夏の盛時に猶更危険である。私は悲しい気持で、ぼんやり蓮鉢を見守るの外はなかった。
ただ一つ私の心を慰めたことには、その蓮の葉を一枚、盂蘭盆の折、亡父と亡児との位牌のある仏壇に供えることが出来たのである。
「どうせ駄目な蓮ですから、葉を一枚取っても宜しいでしょう、」と妻は云って、一番新らしい綺麗な葉を切り取った。そして洗い清めたのを見ると、小さくはあるが、湍々していて、仄かな匂いをも持っていた。八百屋から来た蓮の葉に比べると、新しいだけに色艶もよかった。
それだけのことを唯一の収穫にして、私はいつしか蓮鉢を忘れがちになった。年を越して昨年の春、鉢の泥を半ば取換えてやろうかとも思ったが、それもつい不精から時期を過してしまった。