Japanische Klassiker mit Furigana
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そばもち
蕎麦餅
田中 貢太郎
Lesen Sie 蕎麦餅 (そばもち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.035 Zeichen · 8 Bildschirme
「これは、いつかのお客さんでございますか、ようこそお寄りくださいました」
婆さんは愛嬌を見せながら季和を迎えて前に来ていた二三人の客といっしょに夕飯を喫わせた。
その晩も五六人の旅人があった。飯がすむと皆がいっしょの室へ入って寝た。考えを持っている季和は寝たふりをして夜具にくるまっていた。
間もなく婆さんが火を取りにきて、室の中は真暗になった。季和は眼を開けて次の室の方へ注意した。と、一時ばかりして荒壁の隙から明りが見えだした。季和は蒲団から這い出てまた壁の隙から隣の室を窺いた。婆さんが竈の前に坐って、傍の箱から人形を出しているところであった。
季和は嘲りながら見ていた。婆さんはまた指を組み合せて人形の方に向って祈をはじめた。祈がすむと水桶の水を哺んで人形に吹きかけた。人形が動きだして畑を造え、それから種を蒔き、蕎麦が生え、蕎麦の実を粉にすると、人形を箱にしまい、その後で五個の餅を造えた。
朝になって五人の者は入口の室へ往った。五個の餅が卓の上に置いてあった。婆さんは傍へきてそれを皆にすすめた。季和は別に懐に一個の餅を持っていた。彼はその餅を出して、婆さんの出してきた餅と取り換えるようにしながら、その実取り換えずに婆さんの出した餅を婆さんの前へ出した。