Japanische Klassiker mit Furigana
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はくめい
薄明
Lesen Sie 薄明 (はくめい) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.073 Zeichen · 18 Bildschirme
家の黒い板塀が見えた。
や、残っている。
しかし、板塀だけであった。中の屋敷は全滅している。焼跡に義妹が、顔を真黒にして立っている。
「兄さん、子供たちは?」
「無事だ。」
「どこにいるの?」
「学校だ。」
「おにぎりあるわよ。ただもう夢中で歩いて、食料をもらって来たわ。」
「ありがとう。」
「元気を出しましょうよ。あのね、ほら、土の中に埋めて置いたものね、あれは、たいてい大丈夫らしいわ。あれだけ残ったら、もう当分は、不自由しないですむわよ。」
「もっと、埋めて置けばよかったね。」
「いいわよ。あれだけあったら、これからどこへお世話になるにしたって大威張りだわ。上成績よ。私はこれから食料を持って学校へ行って来ますから、兄さんはここで休んでいらっしゃい。はい、これはおむすび。たくさん召し上れ。」
女の二十七、八は、男の四十いやそれ以上に老成している一面を持っている。なかなか、たのもしく落ちついていた。三十七になっても、さっぱりだめな義兄は、それから板塀の一部を剥いで、裏の畑の上に敷き、その上にどっかとあぐらを掻いて坐り、義妹の置いて行ったおにぎりを頬張った。まったく無能無策である。