Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うすこうばい

薄紅梅

泉 鏡花

Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

場面を築地辺にとればまだしもであったと思う。けれども、三崎町が事実なのである。

「ほほほ、お呼びずての方が却ってお心易くって、――ああ、お茶を一つ。」

「おかみさん、ちょいと、あの、それより冷水を。」

「冷水?」

「あの、ざぶざぶ、冷水で、この半を絞って下さいませんか。御無心ですが。私ね、実は、その町の曲角で、飛んだ気味の悪い事がありましてね。」

九

「そこの旅宿の角まで、飯田町の方から来ますとね、妾、俥だったんですけれど、幌が掛っていましたのに、何ですか、なまぬるい、ぬめりと粘った、濡れたものが、こっちの、この耳の下から頬へ触ったんです。」

水紅色の半が、今度は花弁のしぼむ状に白い指のさきで揺れた。

「あれ、と思って、手を当てても何にもないんです。」

「あの、此店へおいでなさいました、今しがた……」

女房は頬をすぼめ、眉を寄せて、

「……まあ。」

「慌てて俥をとめましてね、上も下も見ましたけれど、別に何にもないんです。でも、可厭らしく、変に臭うようで、気味が悪くって、気味が悪くって。無理にも、何でもお願いしてと思っても、旅宿でしょう、料理屋ですもの、両方とも。