Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あざみ

薊

山本 周五郎

Lesen Sie 薊 (あざみ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.800 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

と銕太郎が訊き返した、「おまえはおれのどこが気にいらないんだ」

「そのお答えはもう幾十たびも申上げました」ゆきをは鏡の中で眼をそらした、「あなたはわたくしに不満があるので、それで逆にわたくしをお責めになるのですわ」

銕太郎は眼を庭のほうへ戻した。

枯れた芒がさっと風に揺れたち、くぬぎ林で騒いでいた、百舌鳥の声がやんだ。

なま温かい夜であった。銕太郎は自分のうなされる声で、眼がさめた。深い眠りの底から、少しずつさめてき、やがて、暗くしてある行燈の光りで、立てまわした屏風の絵が、ぼんやりと眼にうつった。うなされていたなと思い、ふと気がつくと、その声はまだ聞えてい、銕太郎は頭をもたげた。けんめいになにかをこらえるような、かすれた呻き声で、絶え絶えに細くなり、そのまま消えるかと思うと、急に切迫し、よじれるように高まり、激しく暴あらしくなった。

彼は起きあがった。その声は妻の寝所から聞えて来る、うなされていたのは妻なのだ。彼は立ってゆき、襖をあけた。中廊下を隔てて妻の寝所がある、彼は「ゆきを」と呼びかけた。呻き声はすぐに止った。

「どうかしたのか」と彼はまた云った、「躯でも悪いのか」