Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばらふじん

薔薇夫人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 薔薇夫人 (ばらふじん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.967 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「可哀相に思うの?」

「可哀相です。しかし、ぼくはあの人の顔を二度と見たくありません。ゾッとするほど嫌いなのです」

「かわってるのね。一等親しい人が、一等きらいなのね。……お友達は?」

「ありません。みんなぼくとは、ちがう人間です。ぼくの気持のわかるやつなんて、ひとりもいません。奥さん、あなただって、ぼくの気持、わかりっこありませんよ」

「まあ、奥さんだなんて。あたし、奥さんに見えて?」

「じゃあ、なんです」

「あなたと同じ、ひとりぼっちの女よ。まだ名前を云わなかったわね。あたし、相川スミエっていうの。親から譲られたお金で、勝手な暮らしをしているのよ。あなたのお友達になってあげるわ。あんまりひとりぼっちで、可哀相だもの」

婦人は立上って、浩一のかけている長椅子に席をかえた。そのとき、バンドをしめていないガウンの前が、フワッと胸までひらいて、桃色の全身が、チラリと見えた。やっぱり下には何も着ていなかった。その一目が、浩一を電気のように撃った。全身のうぶ毛が総毛立つような気がした。

婦人の手が自分の肩を抱いているのを感じた。浩一は両手で顔をおさえて、長いあいだ黙っていた。