Japanische Klassiker mit Furigana
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くすりうりのしょうねん
薬売りの少年
小川 未明
Lesen Sie 薬売りの少年 (くすりうりのしょうねん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.438 Zeichen · 9 Bildschirme
荷物を背中に負って、薬売りの少年は、今日も知らぬ他国の道を歩いていました。北の町から出た行商群の一人であったのです。
霜解けのした道は、ぬかるみのところもあるが、もう日の光に乾いて、陽炎の上っているところもありました。村はずれに土手があって、大きな木が立っていました。かさのように枝を空へ拡げていました。
「なんの木だろうな。」
少年は、よくこうした景色を見るのです。ゆくところ、どこにも同じような村があり、人が住んで、笑ったり、怒ったりしていると思うと、なんとなくこのあたりの風景を見てもなつかしいのでした。そしてここにはもう春がきていて、木の下には、青い草が芽ぐみ、紫色のすみれの花さえ咲いているのが、目の中に入ったのです。
少年は思わず、故郷の方を振り返りました。青空遠く雲は流れていて、もとよりその方角すらたしかでなかったが、曇り日がつづき、冷たい雪が降っていることと思われました。彼は、青草の上へ腰をおろそうとしたが、そばに小さな茶店があるのに気づいたので、さっそく入って腰掛けへ休みました。
「いらっしゃいまし。」と、おかみさんが、愛想よくお茶を注いでくれました。