Japanische Klassiker mit Furigana
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あいがめ
藍瓶
田中 貢太郎
Lesen Sie 藍瓶 (あいがめ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.676 Zeichen · 10 Bildschirme
「前の車屋の親方が聞いて来てくれたよ、お前が出しぬけに引越したものだから、俺、お大師さんから帰ってまごまごしてると、車屋の親方が来て、お前さんとこの息子は、とんでもねえ奴だ、親を棄てて逃げるなんて、警察へ云ってくが宜い、俺がいっしょに往いてやろうと云うから、俺がそいつはいけねえ、あれもこれまで商売してて、旨く往かなかったから、都合があって引越したのだ、そいつはいけねえと断ったよ」
「あたりまえよ、不景気で借金が出来たから、ちょと逃げてるのだ、警察なんか怖いものか」
「そうとも、そうとも、だから俺、あの親方が、家へ来いと云ってくれたが往かなかったよ」
「よけいなおせっかいだ」
「そうとも、俺は癪にさわったよ、お前さんとこの息子もいけないが、あの女がいけねえのだ、ちゃぶ屋を渡り歩いた、したたかものだ、とっさんが傍にいると……」
父親のほうはよう見ずに紅い手柄をかけた結いたての円髷の一方を見せながら、火鉢の火を見ていた女が怒りだした。
「どうせ私は、ちゃぶ屋を渡り歩いた、したたかものですよ」
父親はあわてて云った。
「ま、ま、ま、お前さん、俺は、お前さんの悪口を云うのじゃない、車屋の親方の云ったことを、云ってるところじゃ……」