Japanische Klassiker mit Furigana
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あしかり
蘆刈
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蘆刈 (あしかり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.413 Zeichen · 78 Bildschirme
ものでござりますからいまだに十五夜になりますとそのころのことがおもい出されるのでござります、そういえば父も今あなたさまが仰っしゃったようなことを申してお前にはこの秋の夜のかなしいことがわかるまいがいずれは分るときがくるぞとよくそんなふうに申したものでござりますという。はて、それはどういうわけなのです、あなたのお父上は十五夜の月がそんなにもお好きだったのですか、そうしてまたおさないあなたをつれて二里も三里ものみちをあるかれたというのは。さあ、はじめてつれて行かれましたときは七つか八つでござりましたからなにもわかりませなんだけれどもわたくしの父は路次のおくの小さな家に住んでおりまして母は二、三年まえに死去いたし親子二人ぎりでくらしておりましたのでわたくしをおいて出あるくことが出来なんだのでもござりましょう、なんでもわたくしは、坊よ、月見につれて行ってやろうといわれて明るいうちから家を出ましてまだ電車のない時分でござりましたから八軒屋から蒸汽船に乗ってこの川すじをさかのぼったことをおぼえております、そして伏見で船を上ったのでござりましたがはじめはそこが伏見の町だということも知りませなんだ、ただ父が堤のうえを何処までもあるいていきますのでだまってついてまいりましたら