Japanische Klassiker mit Furigana
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あしかり
蘆刈
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蘆刈 (あしかり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.413 Zeichen · 78 Bildschirme
女中がそのまえに立って舞い扇をひらひらさせながら舞っておりますのが顔だちまでは見えませぬけれどもしぐさはよく見えるのでござります、座敷の中にはまだその時分は電燈が来ていなかったものかそれとも風情をそえるためにわざとそうしてありましたものか燭台の灯がともっていて、その穂が始終ちらちらしてみがきこんだ柱や欄杆や金屏風にうつっております。泉水のおもてには月があかるく照っていまして汀に一艘の舟がつないでありましたのは多分その泉水は巨椋の池の水をみちびいたものなのでここからすぐに池の方へ舟で出られるようになっているのでござりましょう、で、ほどなく舞いが終りますと腰元どもがお銚子を持って廻ったりしておりましたが、こちらから見たぐあいでは腰元どもの立ちいふるまいのうやうやしい様子からどうもその琴をひいた女が主人らしゅうござりましてほかの人たちはそのお相手をしているようなのでござりました。なにしろ今から四十何年の昔のことでござりましてそのころは京や大阪の旧家などでは上女中には御守殿風の姿をさせ礼儀作法は申すまでもござりませぬが物好きな主人になりますと遊芸などをならわせた