Japanische Klassiker mit Furigana
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そせい
蘇生
豊島 与志雄
Lesen Sie 蘇生 (そせい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.974 Zeichen · 31 Bildschirme
いつまで行っても野は広茫として際限がなかった。仄かな明るみが大気のうちに湛えていた。そしてその明るみの中に彼は意識が解け去るのを感じた。後はただ茫とした。……
敬助が眠りから覚めた時、障子には晩秋の日が明るくさしていた。彼はきょとんとした眼で室の中を見廻した。看護婦が向うに坐っていた。中西が寝転んでいた。ぱっとした明るみが、室の中に一杯漲って、凡てを不思議な世界に輝らし出していた。彼は柱から天井から襖までまざまざと眺め廻した。その時彼はふと思い出した。――先刻誰か自分の側に来て、ひそひそと泣いていた。彼は眼を覚そうとしたが、重い靄がどうしても頭から離れなかった。そのうちにまた静になった。
「おい!」そう彼は呼んだ。そして自分でもその声の大きいのに喫驚した。
中西が飛び起きて彼の側に来た。
「先刻誰か此処に来てやしなかったのか。」
中西は暫く彼の顔を窺っていたが、遂に云った。
「秋子さんが来ていた。」
その一言に彼は昨夜からのことがはっきり思い出せた。
「なぜ起さなかった?」
「よく眠ってたから。……秋子さんはまた来ると云っていた。」
敬助は何ともいわないで、中西の顔から眼を外らした。