Japanische Klassiker mit Furigana
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きょこうのはる
虚構の春
Lesen Sie 虚構の春 (きょこうのはる) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.586 Zeichen · 108 Bildschirme
その内、僅か四五カ月。間もなく、プロバカートル事件が起り、逃げてきて転向し、再び経済記者に返った兄の働きで、ぼくも学校に戻れました。転向後だったので、兄は二カ月、ぼくは大した事もなかったので半日、豚箱に置かれました。職場にいた頃、機関雑誌に僕はミューレンの焼き直し童話や、片岡鉄兵氏ばりのプロレタリア小説を書いていました。十銭で買った『カラマゾーフの兄弟』の感激もありましたろう。貧乏大学生の話、殊に嫁を貰ってからの兄との遠慮は、ぼくにまた幼年時からの理想、小説家を希望させたのです。最初の一年はぼくは無我夢中で訳の分らぬ小説を書き、投書しました。急にスポーツをやめた故か、人の顔をみると涙がでる、生つばがわく、少しほてる。からだが松葉で一面に痛がゆくなる。『芸術博士』に応募して落ちた時など帯を首にまきつけました。ドストエフスキイ流行直前、彼にこって、タッチイを臭い文学理論でなやまし、そのほかの友人すべてをもひんしゅくさせたことと思います。兄の新妻の弟、山口定雄がワセダ独文で『鼻』という同人雑誌を出していましたので、彼に頼み、鼻の一員にして貰い、一作を載せたのが、昨年の暮なのです。