Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
梶棒が下りるとき黒い影が急に明かるくなって、待合に入る。黒い影は暗いなかから続々と現われて出る。場内は生きた黒い影で埋まってしまう。残る京都は定めて静かだろうと思われる。
京の活動を七条の一点にあつめて、あつめたる活動の千と二千の世界を、十把一束に夜明までに、あかるい東京へ推し出そうために、汽車はしきりに煙を吐きつつある。黒い影はなだれ始めた。――一団の塊まりはばらばらに解れて点となる。点は右へと左へと動く。しばらくすると、無敵な音を立てて車輛の戸をはたはたと締めて行く。忽然としてプラットフォームは、在る人を掃いて捨てたようにがらんと広くなる。大きな時計ばかりが窓の中から眼につく。すると口笛が遥かの後ろで鳴った。車はごとりと動く。互の世界がいかなる関係に織り成さるるかを知らぬ気に、闇の中を鼻で行く、甲野さんは、宗近君は、孤堂先生は、可憐なる小夜子は、同じくこの車に乗っている。知らぬ車はごとりごとりと廻転する。知らぬ四人は、四様の世界を喰い違わせながら暗い夜の中に入る。
「だいぶ込み合うな」と甲野さんは室内を見廻わしながら云う。
「うん、京都の人間はこの汽車でみんな博覧会見物に行くんだろう。