Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
されど、情だにあらば、羅馬の神は、よも生きながらの辱に、市に引かるるわれを、雲の上よりよそに見たまわざるべし。君が仇なる人の勝利を飾るわれを。埃及の神に見離されたるわれを。君が片身と残したまえるわが命こそ仇なれ。情ある羅馬の神に祈る。――われを隠したまえ。恥見えぬ墓の底に、君とわれを永劫に隠したまえ。」
女は顔を上げた。蒼白き頬の締れるに、薄き化粧をほのかに浮かせるは、一重の底に、余れる何物かを蔵せるがごとく、蔵せるものを見極わめんとあせる男はことごとく虜となる。男は眩げに半ば口元を動かした。口の居住の崩るる時、この人の意志はすでに相手の餌食とならねばならぬ。下唇のわざとらしく色めいて、しかも判然と口を切らぬ瞬間に、切り付けられたものは、必ず受け損う。
女はただ隼の空を搏つがごとくちらと眸を動かしたのみである。男はにやにやと笑った。勝負はすでについた。舌を頭に飛ばして、泡吹く蟹と、烏鷺を争うは策のもっとも拙なきものである。風励鼓行して、やむなく城下の誓をなさしむるは策のもっとも凡なるものである。蜜を含んで針を吹き、酒を強いて毒を盛るは策のいまだ至らざるものである。