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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

男は煙草入を開く。裏は一面の鍍金に、銀の冴えたる上を、花やかにぱっと流す。淋しき女は見事だと思う。

「先生だけなら、もっと閑静な所へ案内した方が好かったかも知れませんね」

忙しがる小野を無理に都合させて、好かぬ人込へわざわざ出掛けるのも皆自分が可愛いからである。済まぬ事には人込は自分も嫌である。せっかくの思に、袖振り交わして、長閑な歩を、春の宵に併んで移す当人は、依然として近寄れない。小夜子は何と返事をしていいか躊躇った。相手の親切に気兼をして、先方の心持を悪くさせまいと云う世態染みた料簡からではない。小夜子の躊躇ったのには、もう少し切ない意味が籠っている。

「先生にはやはり京都の方が好くはないですか」と女の躊躇った気色をどう解釈したか、小野さんは再び問い掛けた。

「東京へ来る前は、しきりに早く移りたいように云ってたんですけれども、来て見るとやはり住み馴れた所が好いそうで」

「そうですか」と小野さんはおとなしく受けたが、心の中ではそれほど性に合わない所へなぜ出て来たのかと、自分の都合を考えて多少馬鹿らしい気もする。

「あなたは」と聞いて見る。

小夜子はまた口籠る。