Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「昨夕御出になったのが悪かったですかね」
「いえ、なに。――時に昨夕は大きに御厄介」
「いいえ」
「小夜も大変喜んで。御蔭で好い保養をした」
「もう少し閑だと、方々へ御供をする事が出来るんですが……」
「忙がしいだろうからね。いや忙がしいのは結構だ」
「どうも御気の毒で……」
「いや、そんな心配はちっとも要らない。君の忙がしいのは、つまり我々の幸福なんだから」
小野さんは黙った。部屋はしだいに暗くなる。
「時に飯は食ったかね」と先生が聞く。
「ええ」
「食った?――食わなければ御上り。何にもないが茶漬ならあるだろう」とふらふらと立ち懸ける。締め切った障子に黒い長い影が出来る。
「先生、もう好いんです。飯は済まして来たんです」
「本当かい。遠慮しちゃいかん」
「遠慮しやしません」
黒い影は折れて故のごとく低くなる。えがらっぽい咳が二つ三つ出る。
「咳が出ますか」
「から――からっ咳が出て……」と云い懸ける途端にまた二つ三つ込み上げる。小野さんは憮然として咳の終るを待つ。
「横になって温まっていらしったら好いでしょう。冷えると毒です」
「いえ、もう大丈夫。出だすと一時いけないんだがね。