Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「よし分った。理由はそれぎりかい」
「それに確然たる契約のない事だからと云うんです」
「契約とは法律上有効の契約という意味だな。証文のやりとりの事だね」
「証文でもないですが――その代り長い間御世話になったから、その御礼としては物質的の補助をしたいと云うんです」
「月々金でもくれると云うのかい」
「そうです」
「おい小夜や、ちょっと御出。小夜や――小夜や」と声はしだいに高くなる。返事はついにない。
小夜子は襖の蔭に蹲踞ったまま、動かずにいる。先生は仕方なしに浅井君の方へ向き直った。
「君は妻君があるかい」
「ないです。貰いたいが、自分の口が大事ですからな」
「妻君がなければ参考のために聞いて置くがいい。――人の娘は玩具じゃないぜ。博士の称号と小夜と引き替にされてたまるものか。考えて見るがいい。いかな貧乏人の娘でも活物だよ。私から云えば大事な娘だ。人一人殺しても博士になる気かと小野に聞いてくれ。それから、そう云ってくれ。井上孤堂は法律上の契約よりも徳義上の契約を重んずる人間だって。――月々金を貢いでやる? 貢いでくれと誰が頼んだ。小野の世話をしたのは、泣きついて来て可愛想だから、好意ずくでした事だ。