Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
活躍の児は一句にして挨拶と紹介を兼る。宗近君は忙しい。甲野さんは依然として額を支えて立ったままである。小野さんも手持無沙汰に席に着かぬ。小夜子と糸子はいたずらに丁寧な頭を下げた。打ち解けた言葉は無論交す機会がない。
「雨の降るのに、まあよく……」
母はこれだけの愛嬌を一面に振り蒔いた。
「よく降りますね」と宗近君はすぐ答えた。
「小野さんは……」と母が云い懸けた時、宗近君がまた遮った。
「小野さんは今日藤尾さんと大森へ行く約束があるんだそうですね。ところが行かれなくなって……」
「そう――でも、藤尾はさっき出ましたよ」
「まだ帰らないですか」と宗近君は平気に聞いた。母は少しく不快な顔をする。
「どうして大森どころじゃない」と独語のように云ったが、ちょっと振り返って、
「みんな掛けないか。立ってると草臥るぜ。もう直藤尾さんも帰るだろう」と注意を与えた。
「さあ、どうぞ」と母が云う。
「小野さん、掛けたまえ。小夜子さんも、どうです。――甲野さん何だい、それは……」
「父の肖像を卸しまして、あなた。持って出るとか申して」
「甲野さん、少し待ちたまえ。もう藤尾さんが帰って来るから」