Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

甲野さんは別に返事もしなかった。

「少し私が持ちましょう」と糸子が低い声で云う。

「なに……」と甲野さんは提げていた額を床の上へ卸して壁へ立て掛けた。小夜子は俯向きながら、そっと額の方を見る。

「なんぞ藤尾に、御用でも御有なさるんですか」

これは母の言葉であった。

「ええ、あるんです」

これは宗近の答であった。

あとは――雨が降る。誰も何とも云わない。この時一輛の車はクレオパトラの怒を乗せて韋駄天のごとく新橋から馳けて来る。

宗近君は胴衣の上で、ぱちりと云わした。

「三時二十分」

何とも応えるものがない。車は千筋の雨を、黒い幌に弾いて一散に飛んで来る。クレオパトラの怒は布団の上で躍り上る。

「御叔母さん京都の話でも、しましょうかね」

降る雨の地に落ちぬ間を追い越せと、乗る怒は車夫の背を鞭って馳けつける。横に煽る風を真向に切って、歯を逆に捩ると、甲野の門内に敷き詰めた砂利が、玄関先まで長く二行に砕けて来た。

濃い紫の絹紐に、怒をあつめて、幌を潜るときに颯とふるわしたクレオパトラは、突然と玄関に飛び上がった。

「二十五分」

と宗近君が云い切らぬうちに、怒の権化は、辱しめられたる女王のごとく、書斎の真中に突っ立った。