Japanische Klassiker mit Furigana
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にじのはし
虹の橋
久生 十蘭
Lesen Sie 虹の橋 (にじのはし) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.038 Zeichen · 30 Bildschirme
「朝までマジマジしているんじゃ、たまらないわ。グリさん。ブロバリン持っているでしょう」
若槻はボストン・バッグをひきよせて、ブロバリンの小瓶をだすと、千代のほうへ放ってやった。
「二錠くらいにしておけ。飲みすぎると、だるくて起きられやしないぜ」
「わかってるわ……真山さん、どう? ありふれた薬だけど、眠れることだけは確実よ」
「睡眠剤?……暑さがつづいたせいか、この二三日、眠ったような気がしないの。飲んでみようかしら」
あさひにとって、その夜は平凡な夜ではなかった。重苦しい夢の中で、あさひは痛烈な感覚を味わった。失神する直前の、無限に墜落するあのたよりなさ……官能をギリギリまでおしつめ、粉々にしてしまうような苦悩のつづけ撃ちだったが、それ自体は不愉快なものではなく、苦痛の極の恍惚といった、言い知れぬ感動に思わず竦みあがる瞬間もあった。
あさひはだんだん不安になり、神経が緊張して、これ以上耐えられそうもなくなると、あゝ、いま死ぬんだわ。いい気になって睡眠剤なんか飲んだ罰だ、などとぼんやりと考えているうちに、痺れるような眠りのなかで夢を見た。その夢は無限に変化する男女の営みの千態万態で、組合せの奇抜なことといったらお話にならない。