Japanische Klassiker mit Furigana
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にじのはし
虹の橋
久生 十蘭
Lesen Sie 虹の橋 (にじのはし) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.038 Zeichen · 30 Bildschirme
冷たい重い手錠は、人間の意志の力を弱らせるふしぎな作用をもっていて、両手で手錠の重さを支えていると、ほんとうにじぶんが殺人を犯したような気持がしてくる。精神不安のせいか生理がとまり、顔が両手の中へ入ってしまうほど小さくなってしまったので、家主の金井が面会に来たとき、身体権侵害の抗告をして警察病院で診察して貰ったら、意外にも、妊娠三カ月ということだった。
翌日、永田は、いつもとちがう調子で絡みついてきた。
「白状さえすれば、おばあさんにも逢わせるし、差入れもゆるしてやる……お前は妊娠しているんだそうだな。そんな身体で下手な突っ張りかたをすると、死んでしまうぞ。栃木には立派な産室があるから、楽々とお産ができるんだ。どうだ、その気にならないか」
実家帰りはいいとしても、母子二代、刑務所の産室で子供を産むのかと思うだけで、身体中の血が逆流する。生れてくる子供のためにも、どんなことがあっても他人の罪など背負いこむわけにはいかない。あさひは態度を変えて、わたしは真山あさひで、北川千代なんていう女ではないと、厳粛に主張した。
「大阪では、こういう家とこういう家に働いていましたから、調べればすぐわかるはずです」