Japanische Klassiker mit Furigana
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ほたる
蛍
織田 作之助
Lesen Sie 蛍 (ほたる) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.875 Zeichen · 21 Bildschirme
しずかに流れて行く水にはや遠い諦めをうつした。はたして翌る年の暮近いある夜、登勢は坂本遭難の噂を聴いた。おりから伏見には伊勢のお札がどこからともなく舞い降って、ええじゃないか、ええじゃないか、淀川の水に流せばええじゃないかと人々の浮かれた声が戸外を白く走る風とともに聴えて、登勢は淀の水車のようにくりかえす自分の不幸を噛みしめた。
ところが、翌る日には登勢ははや女中たちといっしょに、あんさんお下りさんやおへんか、寺田屋の三十石が出ますえと、キンキンした声で客を呼び、それはやがて淀川に巡航船が通うて三十石に代るまでのはかない呼び声であったが、登勢の声は命ある限りの螢火のように勢いっぱいの明るさにまるで燃えていた。