Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

延津弥はおふくろにむかって、こんなことを言っていたそうでございます。中田屋の旦那を毒害したなぞは、まったく覚えのないことだが、実は千生さんと私とは前々から深く言いかわしている。中田屋の一件とは別口で、千生さんは少し筋の悪いことがあって、当分は身を隠していなければならない。その隠れ家は知れているが、今すぐに逢わせるわけには行かない。千生さんも小遣いに不自由しているようだから、金はわたしから届けてあげる。こう言って最初におふくろから十両の金を受取りまして、それから五十日のあいだに三両五両と四、五たびも引出しましたそうで……。それは延津弥が自分の口から話したのですから嘘ではございますまい。

わたくしもそれを知って、どうもひどい事をすると思いましたが、なにしろ延津弥とは夫婦同様になってしまったのですから、今さら開き直って女を責めるわけにも参りません。八月二十一日の晩に延津弥は日本橋の方へ行くといって家を出まして、四つを過ぎても帰りません。どうしたのかと案じていますと、九つ(十二時)を過ぎてようよう帰って来ました。わたくしは外へ出ませんので、世間の噂を聞きませんでしたが、おふくろはその晩、小梅で殺されたのでした。