Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
叔母は格子をあけて出てゆく。母は引っ返して来て、わたくしがいつの間にか帰って来ているのに少し驚いているようでした。
「おまえ、叔母さんの話をきいていたかえ。」
「声はきこえても、何を話しているのか判りませんでした。」
わたくしは正直に答えたのですが、母はまだ疑っているようでした。そうして、たとい少しでも立ち聴きをされたものを、なまじいに隠し立てをするのは却ってよくないと思ったらしく、小声でこんなことを言い出しました。
「おまえも薄うす聞いたらしいけれど、叔母さんの家にも困ることがあるんだよ。」
それは叔母さんの泣き声で大抵は推量していましたが、その事件の内容はちっとも知らないのでございます。わたくしは黙って母の顔をながめていますと、母は小声でまた話しつづけました。
「わたしもその事は薄うす聞いていたけれど、叔父さんはこのごろ何か悪い道楽を始めたらしいんだよ。商売の方はそっちのけにして、夜も昼もどこへか出歩いている。この節は世間が騒々しくなって、刀屋の商売はどこの店も眼がまわるほど忙がしいという最中に、商売ごとは奉公人まかせで、主人は朝から晩まで遊び歩いていちゃあ仕様がないじゃないか。