Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Lesen Sie 蝶の絵 (ちょうのえ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.644 Zeichen · 49 Bildschirme
いつかなども、やってきたのはいいんですが、話もなく、いきなり泣くばかりで、扱いかねて、あぐねちゃったわ。それであなた、どうしてアレをごぞんじなの?」
「今日、岩城南光に、紅葉を見ようって誘いだされて、欺し討ちみたいに、あのひとに紹介されちゃった……ひどいところにいたよ」
「そういっちゃ、なんですけど、自業自得よ。無計画性……空想的な娘って、たいてい、そうしたことになるものよ。戦後のゴタゴタの間、現地で花世が世話になったこともあるそうですが、それにしたって、日本まで追いかけてくるなんて、非常識きわまるじゃありませんか」
「恋愛って、もともと非常識なものなんだが、僕が聞いたところじゃ、約束をして山川君が連れだしたんだそうだから、相手が純真すぎたというところかな」
常子は冷やかな微笑をうかべながら、まじまじしていたが、
「あなたも駄目ね。花世ってものを、ちっともわかっていらっしゃらないじゃありませんか……あらゆる真実が、かならず人を動かすものでもなく、純真さが、いつも人をうつとはきまっていません。相手によっては、誠実に扱ってはいけない場合もあり、嘘をまぜてものをいうほうが、徳をしめすことだってあるんです。