Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちょうのえ

蝶の絵

久生 十蘭

Lesen Sie 蝶の絵 (ちょうのえ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.644 Zeichen · 49 Bildschirme

Aozora Bunko

「なるほど、それもそうだ。時は最大の調停者か……むかしのやつは、うまいことをいうよ」

「そうなるように、願っているわけじゃありませんが、死ぬものなら、しようがないでしょう。神さまが、お召しになるのですから」

二階のほうで、なにかザワザワしているようだったが、そのうちに、取組みあいでもするような、荒くれた音になった。

「なんでしょう」

常子がけげんな顔で聞耳をたてているうちに、ドタバタ騒ぎはいよいよ爛熟して、駆けまわる足音に猿の叫び声までまじっている。

奥の間につづくドアから、慧子と寝間着を着た山川の母が出てきた。

「ごめんなさい、こんなうまい装で……常さん、あれはなんのさわぎなの」

「さあ」

「さあ、なんていっていないで、見ていらっしゃいよ……慧子さん、あなたもそんなところに立っていないで」

籠ったような銃声が、めちゃめちゃな調子で、六発まできこえた。

「二階にいるのは、山川君だけですか」

「いいえ、猿がいます」

なにもかも見透したような声で慧子がこたえた。

階段を踏みとどろかす音がしたと思うと、焦点の定まらない、熱にうかされたような眼つきで山川が客間へ入ってきた。