Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme
それがやはり艶かしい。
と、お紅は立ち上ったが、浴槽を出ると蹣跚くように、香水管の下まで行って、起立したまま静まった。裸体から滴がしたたり落ちる。裸体を香水の霧が蔽う。斑のない大理石の彫像を、繭から出たばかりの生絹が、眼にも入らない細さをもって、十重に二十重に引っ包み、暈しているのではあるまいかと、そんなようにも見え做される。
だがお紅は知らなかった。浴槽の緑の湯の中に、熏陸、烏薬、水銀郎等の、××質が入れてあったことを。
そうしてさらに知らなかった。管から吹き出している香水の中に、馬牙硝、大腹子、杜仲などの、同じく××的香料が、まぜられてあったということを。
いつまでもお紅は陶然として、香水の霧に巻かれている。
しかしそれから体を拭って、垂布をくぐって前房へ出て、そうしていぜんとして一糸も纏わず、バタビヤ織りの垂布をひらいて、寝部屋の中へよろめき込み、寝台へ体を横仆えて、桃色の薄布を一枚だけ懸けて、ウトウトと眠りに入った頃から、身内の血潮が騒ぎ立ち、…………、…………、追っかけ追っかけ上ぼって行くのを、堪えることが出来なかった。
漁色の動物
「ああ妾はどうしたんだろう? こんな気持になったことは、それこそ産れて初めてだよ」