Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme
「ハイハイおいででござりますよ。今頃はねんねでござりましょう。いいご機嫌でな。夢中でな」
「お紅は俺の女なのだよ。それを殿下が横取ったのだよ。いやいや横取ろうとしているのだよ。で、この密房へ入れたのさ。……だがお紅は俺のものだ。渡してくれ、渡してくれ!」
懇願的の声となった。
「あの娘は本当に美い女だ。聚楽中にもないくらいだ。で、ご愛妾の一人が死んだ。お前も知って居る京極のお方だ。今日まで殿下のご寵愛を、一人占めにして占めていられた方だ、そのお方が懐刀で自害された。お紅の懐中から転び出た刀で、まるでお紅が殺したようなものだ。いや事実殺したのだ。お紅を嫉妬して死んだのだからな。お紅がご愛妾になろうものなら、寵愛を失うと思ったからさ。……そんなにも綺麗なお紅なのだ。俺だって恋しく思うではないか。頼む、あけてくれ、扉をあけてくれ!」
更にそれから誘惑するように。
「が、勿論頼むには、頼むだけのことはするつもりだ……殿下から拝領の生絹をやろう、殿下から拝領の羅紗布をやろう、殿下から拝領の紋唐革をやろう。もしお前が欲しいというなら、刺繍した黒天鵞※をくれてやる。