Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
それにしても、蜘蛛の網が、何んとその領分を拡大めたことであろう! 紙帳の天井にさえ張り渡されてあるではないか。血飛沫によって作られた網が! 思うにそれは、先夜、飯塚薪左衛門の屋敷で、左門によって討たれた浪人の血と、片足を斬り取られた浪人の血とによって、新規に編まれた網らしく、血の色は、赤味を失わないで、今にも、糸のように細い滴を、二人の男女へ、したたらせはしまいかと思われた。
お浦は、夜具からはみ出した腕を、宙へ上げ、何かを探すような素振りをしたが、
「頼母様! 天国様を持って参りました!」
と叫んだ。もちろん、夢中で叫んだのである。
その頼母は、ずっと以前から、壁一重へだてた隣りの部屋に、お浦を待ちながら、粛然と坐り、「一刀斎先生剣法書」を、膝の上へ載せ、行燈の光で、読んでいた。
下婢の敷いて行った寝具は、彼の手で畳まれ、部屋の片隅に置かれてあった。女を待つに寝ていてはと、彼の潔癖性が、そうさせたものらしい。前髪を立てた、艶々しい髪に包まれた、美玉のような彼の顔は、淡く燈火の光を受けて、刻りを深くし、彫刻のような端麗さを見せていた。
「事ノ利ト云フハ、我一ヲ以テ敵ノ二ニ応ズル所也。