Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじん
行人
Lesen Sie 行人 (こうじん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.801 Zeichen · 452 Bildschirme
だから、当人は母から上げた返事の通りだと答えた。岡田夫婦はまた佐野という婿になるべき人の性質や品行や将来の望みや、その他いろいろの条項について一々自分に話して聞かせた。最後に当人がこの縁談の成立を切望している例などを挙げた。
お貞さんは器量から云っても教育から云っても、これという特色のない女である。ただ自分の家の厄介ものという名があるだけである。
「先方があまり乗気になって何だか剣呑だから、あっちへ行ったらよく様子を見て来ておくれ」
自分は母からこう頼まれたのである。自分はお貞さんの運命について、それほど多くの興味はもち得なかったけれども、なるほどそう望まれるのは、お貞さんのために結構なようでまた危険な事だろうとも考えていた。それで今まで黙って岡田夫婦の云う事を聞いていた自分は、ふと口を滑らした。――
「どうしてお貞さんが、そんなに気に入ったものかな。まだ会った事もないのに」
「佐野さんはああいうしっかりした方だから、やっぱり辛抱人を御貰いになる御考えなんですよ」
お兼さんは岡田の方を向いて、佐野の態度をこう弁解した。岡田はすぐ、「そうさ」と答えた。そうしてそのほかには何も考えていないらしかった。