Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

Lesen Sie 街はふるさと (まちはふるさと) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 193.435 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

五

青木は泣き顔をかみほぐすのに長い手間はかからなかった。貧乏もここまでくると、気も強くなる。不意打ちの意外さをのぞけば、さしたる被害でもなかった。

「刀おれ矢つきたり、かね。しかしゲンコと竹槍はあるらしいや。今や追いつめられたる日本軍ですよ。しかし、原子バクダンにしては、小さすぎたな」

と、せせら笑った。

「でも、こまるでしょう」

「こまっているのは、いつもの話さ。今さら、こまることはないやね」

「いいえ。こまる、とおッしゃい」

「ハッハ。あなたも貧乏人だから、この心境はわかるはずだがなア。焼石に水ッて云うでしょうがね。アレですよ。今のぼくには、十円から百万円までは同じゼロですよ。貧乏人にとっては、必要とする金額まではゼロなんだね。お金持みたいに、借金を貯金するわけにはいかないらしいよ」

「でも、あるものが、なくなれば、こまるでしょう」

「焼石に水はマイナスの場合にも当てはまるらしいね」

「こまるとおッしゃい。おッしゃらなければダメなんです」

礼子の顔は怒りにひきしまった。

「あなたは虚勢のために自滅しているのよ。虚勢のために、真実を見ることができないのです」