Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うらけがわはなし
裏毛皮は無し
宮本 百合子
Lesen Sie 裏毛皮は無し (うらけがわはなし) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.117 Zeichen · 3 Bildschirme
私たちのように凝っと机にかじりついているものは、冬は炭のいるのを気兼ねしいしいというのでやり切れないところがあります。第一に手がかじかんで、私のこの一ヵ月継続中の風邪のもとは、つい炭が途切れかかったときの記念です。
それにつれて、昔芥川龍之介の書いていた支那游記のなかのことを思い出します。或る支那の文人に会いに行ったら、紫檀の高い椅子卓子、聯が懸けられたまるで火の気のない室へ通された。芥川さんは胴震いをやっと奥歯でくいしめていると、そこへ出て来た主人である文人が握手した手はしんから暖く、芥川さんは部屋の寒さとくらべて大変意外だったそうです。
どうしてそんな手をしてこの火の気のない室に莞爾としていられるのかと、猶も胴ぶるいをこらえつつ観察したら、その文人の長上着の裏にはすっかり毛皮がつけられていたそうです。私たちも、そんなあんばいにやりとうございますね。
全くあなたがお丈夫でもトラックなしではすまないように、私が意気壮でも、手はかじかみましてね。歴史をひもとくと、燃き物と紙の有無とは、常にその社会生活の一般状態を雄弁に物語っているようです。作家の思いは、原稿紙がなくなればどんな紙切れへでも、その紙切れへものをかくような時代の作品を書こうと思っているのでしょう。