Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はだかぎ
裸木
豊島 与志雄
Lesen Sie 裸木 (はだかぎ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.049 Zeichen · 33 Bildschirme
……ところがね、鬢附をねっていると、その匂いがぷんと鼻にくる……。薬品の香のこもった厳粛な実験室だ。その中で鬢附の匂い……そして、色街のことがふっと頭に浮ぶ……。そうなると、その日は駄目だが、一晩遊んで翌日からは、平素に倍して実験に身がはいる……と云うんだ。普通の男にとっては、遊びなんていうものは、それが全部で、そしてそれだけのものさ。」
話してるうちに、橋のところに出た。油ぎったどろりとした水が、波紋一つ立てないで、街燈の灯を映していた。
「じゃあ僕は、ここで失敬しよう。」
武田は突然そう云った。憂鬱な仮面になっていた。
「え……一緒に一杯やるんじゃないのか。」
「いや、またこの次にしよう。今日は一寸用があるから……。」
「だって……。」
「そのうちに行くよ。……そう、赤ん坊を見に行こう。」
「…………」
佐野は呆気にとられた。一人になってもぼんやりそこに佇んでいた。やがて、俄に変梃な気持になった。
――さて、どうするかな。行っちまうか。
街路の灯と明るい商店と見ず識らずの通行人……。その中で、肌寒いほど一人ぽっちの彼だった。
四五日後の午後だった。
「あなた、今日武田さんがいらっしゃいましたよ。